[書評/感想]自閉症を疑ったとき参考にした本「自閉症かな?と思ったとき」(坪倉ひふみ他著)

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我が子が1歳になってもハイハイしない、なぜ、どうして、と理由を探し、不安になっていたときに出会ったのが、「自閉症かな?と思ったとき」という一冊です。

この本は、テイテルバウム夫妻博士らが、乳幼児期の反射や、運動スキルを観察することで自閉症児を見つけることができる、という研究を、一般の人むけにやさしく書かれたものです。現在、自閉症やアスペルガー症候群と実際に診断がつくのは、だいたい3歳ぐらいが標準で、それまでは要経過観察になり、定期的に診察をうけながら様子をみていく、といった流れになります。というのも、赤ちゃんの頃は発達の個別差が大きいため、自閉症を判断するのは早すぎると安易に判断をすることが避けられる傾向があるからです。

それはわかりますが、親としてはできるだけ早く診断を受ければ、それだけ早く療育を始められるのに、ともやもやしますよね。

博士たちは、3歳のときに既に自閉症児であるパターンが出ているのであれば、すでに乳幼児期にもそういったパターンがあるはずだ、という仮定をたて、自閉症児たちの親が撮影したビデオを繰り返し何本もみて、いくつかの通常とは違う運動パターンや反射を見つけました。

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それぞれの章では、反射、運動(寝返り、お座り、ハイハイ、歩行)でどういう動きが定型発達で、こういう動きをするのが非定型発達で、その動きごとにどのように促すことができるか、また支援をもとめたいときは、どうすればいいのかも書かれているので、単に育児不安を煽るものではない一冊になっています。

さて、自閉症かもしれない、と思う親が一番気になる特徴は、チャプター1に記載されていました。

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自閉症児に共通の特徴

  • 自閉的孤立…周囲の世界からの孤立。周囲の音がまったく聞こえていないかのようにふるまう。
  • 偏向…親もふくめて、人を無視し避ける。愛着がなく、人を「物」とみなしているように見える。
  • 言語障害…初語が遅い。自分に向けて言われた言葉を繰り返す。「わたし」を使わず、自分のことを「あなた」と言う。
  • 異常なこだわり…いつも同じやり方を好む。同じ道順を通らないとかんしゃくをおこしたり、好きなものを並べたり。
  • 感覚刺激…エレベータ、掃除機、機械のおもちゃ、流れる水、風などを怖がったり、パニックを起こしたりすることがある。
  • 記憶力・精神力…詩やスポーツがとびぬけてできる。天才的な計算力、音楽的才能をしめすことも。
  • 笑顔がない、表情を欠く…笑顔がなく、表情やジェスチャーが伴わない。赤ちゃんのときにさえ。

こうして書かれたリストをみると、我が家の子どもにはほとんどあてはまらないので、自閉症ではないのかな、と言う気がするのですが、あくまでこれは自閉症児によくあること、なので、なくても自閉症だったという子もいるので、これだけでは判断できません。。

そして、もし、自閉症児だと診断されたときには、いろんな療法が今はあります。

自閉症児への療法リスト

  • 応用行動分析(ABA)
  • ファシリテーテッドコミュニケーション
  • フロアタイム
  • 薬物療法
  • 栄養療法
  • 作業療法
  • 理学療法
  • 感覚統合療法
  • 言語聴覚療法
  • Tomatis(トマティス)メソッド

最もよく知られているのは、ABAですよね。自分の子にどの療法が合うのか、合わないのかも親がよく見極める必要がありますし、すべての療法が効果をあげるわけではありません。

ただ、何より大事なことは「早期療育」だと、この本では繰り返し主張しています。

自閉症の専門家の意見が一致するであろうと思われる重要な点として、早くから自閉症を診断し介入を始めれば、子どもの支援される機会が多くなるということがあげられます。

アメリカの小児学会は、すべての子どもが2歳までに2度自閉症のスクリーニングを受けるよう提唱しており、早期診断の重要性を主張しています。それと同時に彼らは、喃語がない、生後16ヶ月までに単語を発することができない、親が赤ちゃんの名前を読んでも振り向かない、などのほか、その他の社会性ー言語に関する手がかり(それらは1歳未満の子どもの自閉症の診断に役立つとは思えませんが)を探すよう小児科に勧告しました

発達に不安を抱えているのであれば、できるだけ早く、様々な支援が受けられるよう、親も動いていくべきなのかな、と思いました。

親ができることは、本書にも何度も書かれているように、注意深く観察し記録を残しておくこと。日記でも、写真でも、動画でも。それが医師や専門家にみせるときに情報としてとても役立つのだそう。

発達障害なのか、と不安におびえつつ、ネットの玉石混交で書いた人がわからない文章をたくさん読むよりも、この一冊を読む方がよほど役立ちますし、なにより母親や父親がどうするべきか、を書いてあるので、見守るだけではなく、親にもできることがある、というのが一つの希望になるのではないでしょうか。

ちなみに翻訳者は、広島市こども療育センター小児科の坪倉ひふみ先生、大分こども療育センター所長の三ケ田智弘先生らが名を連ねておられます。

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