1歳を過ぎてもハイハイしないことを悩んでいた時期に、「自閉症かな?と思ったとき」と同時に参考にした本がこちらです。→乳幼児の発達障害診療マニュアル – 健診の診かた・発達の促しかた。こちらは一般向けではなく、医師・保健士・看護士・保育士といった、乳幼児にかかわるエキスパートの人達むけに書かれた、「あれ?ちょっと気になるな?」と思った子どもに対する診断のマニュアル書です。
乳児期の診察の仕方、幼児期の診察の仕方などは、親にとってはそれほど参考にはなりませんが、第三章の「異常をみつけるキーポイント」は、月齢別に分かれていて、家で子どもを注意深くみれば、親でも見つけることができる項目がリストアップされています。
例えば、1歳〜1歳2ヶ月児の項目では、
1)移動のしかたをみる
2)模倣と指差しをみる
3)手と目の協応動作、おもちゃの操作性をみる
として、それぞれ、これぐらいの月齢では平均的には何%ぐらいが可能で、どういう動作をみるのか、が書かれています。
そして、さらに、マイルストーン別の発達の促し方もあるので、こちらも親がどういう風にすればいいのかの参考になるはず。
つかまり立ちをしない(8〜10ヶ月)の子には、大人の膝の上にまたがらせてお尻をのせ、足の裏をしっかりつけながらテーブルの上のおもちゃで遊ばせ、徐々にお尻の面積を少なくして足の裏に体重をかけるようにするなど。
また発達障害児の特徴的な行動として以下のことがリストアップされているので、親のチェックリストとしても役立つのではないでしょうか。
- 自己刺激行動、感覚遊び…手をヒラヒラ、身体を揺する、頭を壁に打ちつけるなど
- つま先歩行…正常発達でも見られるが自閉症児、精神遅滞児にみられることが多い
- シャッフリング…正常児にもみられるが、発達障害児には頻度が高いように思われる。足の裏をつきたがらない。腹臥位を嫌う。立位にするとつま先立ちになってしまうなど
- 感覚過敏と感覚鈍麻…泣き声や騒音、抱っこなど。逆に冬でも半袖なも。
- 極端な偏食、異食
- 感情の変動…急に笑ったり怒ったり。
- こだわり…同一性保持。予定の変更や道順がかわると怒る。
- 四つ這いをしない、変形四つ這い
- 一度出た言葉が消える(消失)…単語が出ていても突然喋らなくなる
- 始語がパパ・ママではなく大人びた単語…自分が関心があるもの、大人の真似をしたような言葉
- クレーン現象…相手の手をとって欲しいもののところにもっていく
- 手のひらを自分側に向けてバイバイする…相手と自分の区別がついていない
- ワンパターンなごっこ遊び
- 多弁
- 人にべたべたくっつく
- マイペース
- 集団に入れない
- 指示が入ったり入らなかったりする
- 不器用、協調運動が苦手
本書では、項目ごとに具体的な行動があげられているので、参考にしてみてください。我が家の1歳の子どもに関しては、この19項目のうち、シャッフリングと四つ這いをしないが当てはまっていました。
さらに発達障害児の指導の章では、どういうことをすれば発達を促せるのか、が詳細に書かれています。おそらくこれらは実際に療育などを受けるようになったら、そこで教えてもらえるのかもしれませんが、どういう指導をなぜするのか、を頭に入れておくことで、親が子どもの発達障害とうまくつきあえるようになるかもしれません。
まとめ
検診でよく言われる「様子をみましょう」に不安をかかえる親は多く、適切な時期にきちんと再チェックされないと、そのままになってしまい、早期発見・早期療育が受けられなくなってしまいます。
この本は「◯歳までには◯◯ができるようになるから、◯◯して促してあげてください。できなければ◯歳ごろに受診してください」といった「様子をみましょう」の後に続く言葉が、乳幼児にかかわるエキスパートが加えられるように、と願いをこめられた一冊であり、それこそが今悩む親にとって必要な言葉なのだ、と改めて思いました。
我が子が発達障害なのでは?と悩む親にとって、一つの判断材料になるのではないでしょうか。