あらすじ
助産院での自然分娩こそが赤ちゃんにとって一番の幸せだと信じて疑わない妊婦・森亜沙子(南沢奈央)は、バランスの取れた食生活を送り適度な運動を欠かさない、出産への意識がとても高い妊婦。しかし、助産院での出産への思いが強すぎるのか病院の産科を毛嫌いする一面も。通院する助産院のベテラン助産師・野々村秀子(冨士眞奈美)には、理想の出産を満足げに語るが、義務づけられている病院での検診では、担当医の鴻鳥サクラ(綾野剛)と一度も目も合わせないほど、病院での出産を嫌悪している。
一方、陣痛の痛みに耐えられない妊婦・山田郁美(足立梨花)は、助産師が主導で進められる正常なお産にも関わらず、サクラに対して、産科医なのに何で何もしてくれないのかと叫ぶ。そんな言いたい放題の郁美に対しても、助産師の小松留美子(吉田羊)は力強く手を握って励まし続ける。初産で不安がいっぱいな妊婦にはもっと寄り添う時間を増やしてあげたいが、病院ではそれが叶わない。実は助産院を開業した同期から引き抜きを受けていると、サクラと下屋加江(松岡茉優)に告げる。
そんな折、野々村の発言をきっかけに小松と四宮春樹(星野源)が言い争う事態に。産科医のいない助産院で出産することに否定的な考えを持つ四宮に対して、小松には助産院にある特別な思いがあるようで…。
感想
今回のテーマは助産院と自然なお産について。
日本で出産する場合
- 大学病院or周産期センター
- 総合病院
- 個人病院
- 助産院
- 自宅
のどれかを選ぶ人がほとんどです。
特に問題がない妊婦だと、豪華な食事や個室がある個人病院を選ぶ人が多いかもしれません。
実は助産院や自宅を選ぶ人は、妊婦の中でも1%ほどなんだとか。
今回はその助産院で強く産みたい!と思っている女性・森亜沙子が主人公でした。
毎日5kgのウォーキング(!)、バランスのいい食事を毎食ノートに記載して、バースプランも完璧…。
自分で出産するんだ、という非常に意識が高い妊婦です。
なので、逆にペルソナ病院ではサクラに対して目もあわせてくれない嫌いよう…。
特に「陣痛促進剤も帝王切開も絶対に嫌です」と嫌悪感いっぱいの顔で言う彼女に
サクラも下屋も困って何も言えない。
ちなみに助産院で産むにしても、提携している病院に3回は受診しないといけないのだそう。
けれど、それはそれでいいんじゃないか、と下屋はいいます。
ペルソナ病院にくる妊婦の中には「自分で産むっていう意識がなくて、産ませてもらうっていう感覚の人結構いますもんね」。
なるほど、まぁ、確かにそういうものかもしれない。
なかなか自分で産むぞ、という気合って意識しないと持たないというか。
そして同時進行で順調に陣痛が進む山田郁美(足立梨花)のシーン。
足立梨花といえば、あまちゃんですよねー!懐かしい!!
しかし、今回は陣痛の痛みに耐え切れず思わず助産師の小松を平手打ちして
そばで見ているサクラに「先生、なんでなんにもしてくれないのよ!」と叫ぶ。
「え、でも順調ですよ^^;」と苦笑するサクラなのでした。
そう、実は順調な陣痛では産科医は特にすることはなく、助産師のお世話になることが多いのです。
私が産む予定の周産期センターでも助産師外来は必ず出産前に受けてくださいね、と言われています。
助産師さんとの信頼関係が大事なんですね。
出産が終わった後、小松は元同僚が助産院を開くから引き抜きの話が出ていることをサクラに打ち明ける。
立ち聞きした下屋は思わず小松に抱きついて「辞めないで〜」と泣き落とし。
冒頭の森亜沙子は、助産院でバースプランを手にもち出産の打ち合わせ。
キャンドルの明かりのもと、畳の上で産みたい…。
助産院の助産師も「そうね」と希望をにっこりと笑って受け入れ、亜沙子も笑顔があふれる。
確かに助産院だと、自分の理想のお産はできるかもしれないけれど、
それって一体誰のためのお産?と私なんかは思ってしまう。
母体が危険になった時、すぐに提携病院は受け入れてくれるんだろうか。
赤ちゃんが危険になった時、NICUがあれば助かる可能性は大きいのに…と。
助産院で産む人ももちろんいるだろうけれど、
臆病な私はとてもそんな選択ができない。
そして、ペルソナ病院と助産院とのカンファレンス。
新生児科の女医・新井先生が、切羽詰まってからこっちに送られても困るんです、ときつい一言。
それをまぁまぁとなだめて今橋先生がうまくまとめる。
助産院の野々村が、「私は今まで一度も事故をおこしたことはありません」と自信満々に言い放つのを
四宮は苦々しい顔で見つめる。
カンファレンスの後、助産師の小松と四宮が衝突。
「母子ともに安全に出産することが最大のケア。今時産科医のいない助産院で出産すること自体がおかしい」と言う四宮に
小松は「あんたら産科医は、モニターばっかり見て腹切りすぎなんだよ」と言い返す。
けれど四宮は「帝王切開のどこが悪いんですか。」ときっぱり。
帝王切開が必要な妊婦は今や5人に1人。母体死亡率を下げ、新生児の救命率をあげたのは今の周産期医療のおかげで、
助産師だけだったら1940年代と変わらない。
「そんなこたわかってるよ!」と小松は叫び部屋を飛び出す。
小松の過去
実は小松の実家は助産院で、母親は助産師をしていたせいで、ずっとかまってもらえず
若いころはグレてしまったそう。
ある日、警察にお世話になったところを母親が迎えにきて
そのままお産をするところに立ち会うことに。
今まで反発ばかりしていたけれど、出産シーンで思わず「きばれよ!」と妊婦に向かって涙を流して応援する小松…。
あんたもこうやって生まれてきたんだよ、と母親が小松をぐりぐりと抱きしめる。
それがきっかけで小松も助産師を目指すようになったんだそう。
けれど、助産院はその後廃業。
なぜなら赤ちゃんが死んでしまったから。
その頃のエコーでは見落とすことが多かった病気のせいで。
結局病院も助産院も罪には問われなかったけれど、
一人の赤ちゃんが死んでしまったことは事実。
「助産院は一度の事故も起こしてはいけないの」という母親の言葉を思い出しながら
私は臆病だから、この病院に勤めてるのさ、と自重する小松。
この言葉、すべての助産院にいる助産師さんに聞いてもらいたい。
そして、自然なお産、理想のお産にこだわる妊婦にも、その家族にも。
「私はなんかあるとあんたらに任せちゃうもんね、中途半端だ」と涙をながす小松に
サクラは「赤ちゃんに力を貸すお母さん、それを取り上げるのが助産師さん。僕らはもしもの時に動くだけ。助産師さんがいなければ出産は成り立たないです」と言う。
そして、四宮は四宮で、新生児科の今橋先生にそっと諭される。
実は今橋先生の下の子どもは助産院で産んだのだそう。
産んだ後、川の字で家族と横になった時のことは、やはり助産院でしか経験できなかったと明かす。
さらに、小松が前の病院をクビ同然で辞めることになったのは、
妊婦の大量受け入れを決めた院長にたてついたからで、「彼女は一つ一つのお産に責任をもってる人です」と告げる。
帝王切開になってしまった森亜沙子
そしていよいよ、森亜沙子の出産がスタート。
けれどなかなか進まない。
院長の野々村はペルソナ病院に電話し彼女が搬送されてきたところ、
どうやら赤ちゃんがうまく回転できずにいるとのこと。
陣痛促進剤を使えば進むかもしれないけれど、胎児の心拍も落ちてきているから
帝王切開した方がいいとサクラはすすめる。
けれど森亜沙子は絶対に嫌、とかぶりをふる。
夫が「いい加減にしろよ」と怒るところを野々村がとめて
「彼女が一番頑張ってるのよ」となだめ、森亜沙子に向き直る。
「あなたは本当に頑張ってきた。でもそれは誰のため?赤ちゃんのため?自分のため?」と問いかける。
赤ちゃんとあなたの命以外に大事なものなどないのだ、と。
あれ、けばけばしい外見から悪者かと思いきや意外や意外!
野々村先生はとてもまっとうな助産師だった!!
それでも亜沙子は諦めきれない。
「痛い思いをして産むから母親になれるんでしょう!苦しいお産に耐えるから子どもが可愛いんでしょう!こんなんじゃ立派な母親になれない!」と泣き叫ぶ。
こういう精神論、私は本当に苦手です。
帝王切開だって、お腹を開くわけだし、むしろ産後の回復は帝王切開の方がしんどいし
次の妊娠のリスクも高まるわけで。
どんな産み方をしたって、いい母親になれる人もいれば、殺してしまう母親だっているじゃないか、と思うのです。
そんな彼女に野々村はそっと秘密を打ち明ける。
「実は私も帝王切開で子どもを産んだのよ、それも二人も」とにこり。
唖然として見つめる亜沙子にはちょっと笑った。
そして帝王切開、部分麻酔のため意識は残っている。
やりきれない思いを抱えた亜沙子の表情は曇ったまま。
けれど、いよいよ産まれて赤ちゃんの手をにぎりしめた彼女は、「可愛い」と泣き笑い。
そんな彼女にサクラは
「帝王切開は確かに手術です。でもお母さんは病気でもないのに手術台にのってお腹をきる。これも立派なお産です。どっちで産んでも赤ちゃんと対面した時の顔は今の森さんと同じ顔をみんなしています」と告げる。
亜沙子は涙をとめることができない。
本当にそうですよね。
お産に優劣なんかない。
ひとりひとり子どもが違うように、お産もまたひとりひとり違うんだから、比べる意味なんてない。
臆病な助産師
手術後、小松は野々村に「助産院をしていて怖くないですか」と聞くと「あなたは怖くないの?」と聞かれ
正直に「怖いです」と言うと
野々村はにっこり笑って「あなたは優秀な助産師なんでしょうね」と言う。
自分は優秀だと思っていないけれど、
私も臆病な助産師だったからこそ、40年間ずっと無事故でいられたと。
何かあったらすぐにペルソナに電話してしまう。
嫌味を言われることもあるけれど、お母さんと赤ちゃんが無事ならそれでいいと笑うのでした。
臆病であることは決して悪いことじゃないってことですよね。
むしろ過剰に自信をもっていて
取り返しのつかないことになる方が怖い。
臆病でありつづけることもまた大事な助産師の資格なのかもしれません。
そうして、小松はペルソナで助産師であり続けることを決めるのでした。
別の日、なかなか陣痛が進まない妊婦をみている小松、下屋、そして四宮。
下屋は帝王切開しましょう、と四宮にきくと四宮はなんと小松に「小松さんはどう思いますか?」と聞く。
小松は戸惑いながら「経産婦さんだし、もう少ししたら進むと思うよ」というと
「じゃぁ、そうしましょう」と小松の意見を四宮が聞き入れる。
このシーン、とても良かった。
結局、その後、ぐぐっと陣痛は進んだのでした(笑)
次回予告
四宮がいつもみているつぐみちゃんが肺炎で危ないかも、という感じ。
口唇口蓋裂の赤ちゃん、そしてサクラにとっての悲しい出産…。
来週はなんだかシリアス〜!!
自然でもなんでもいいけれど、結局は母体、赤ちゃんともに無事に生まれることに勝るものはないってことですね。
出産は本当に命がけ。。
見てると本当に出産が怖くなるけれど(笑)
次回も楽しみ。